投資の側面でみたベーシックインカム

全国民に無償でお金を支給するというベーシックインカム。これを投資の側面で考察してみました。

ベーシックインカム論争の中心的な心配事、国民はタダでお金をもらうと働くなるのではという心配。確かに金額にもよるがお金をタダでもらえるなら働かないという人間はいそうだ。似て非なる生活保護という制度。こちらは働けない事情があることを前提に、生活の基盤は補償されるが、こちらは基本最低限の財産以外は持つことができない。特別な事情がなければ、車も乗れない。そのため、多くの日本人は生活保護を脱しようとするため、そのまま無気力に働かなくなる人は一定数に抑えられており、制度として成り立っている。そもそも働けるものは職を探す義務を課せられる。

一方ベーシックインカムはなんの制約もなくお金をもらえる制度。仮に生活保護のように衣食住を担保できるレベルでもらえるとして、働く気がない若者は何もしなくても誰にも文句を言われない。働くか否かは本人がこの何もしなくてもいいという生活に満足せずにより生活を豊かにするために働く意識を持つことが必要です。

実際やってみてどうなるかわかりませんが、僕はこの制度はそんな2極なものじゃないと思います。一人の人においても時として何も生み出さずベーシックインカムに依存するときもあれば、積極的に働くこともあるといったような状態になるのかなと思います。何か新しい挑戦をするための準備期間であったり、気持ちのリセット期間であったり、そういったものにベーシックインカムを活用する若者が増えるのではないでしょうか。

このようにもし制度として成立するならば様々なチャレンジを生み出し、新しい価値を創造できそうなベーシックインカム制度ですが、最も問題なのがその財源。実現するにはその裏付けになる財源が必要です。これも実は物理的には簡単に実現できたりします。

少なくとも日本のように自国通貨を持つ国においては通貨は物理的には無尽蔵に生み出せます。事実じゃぶじゃぶお金を刷ってしまう国もありますよね。ただ、1億人に毎月10万、年間120万円支給するには年間120兆円の資金が必要です。これを例えば国債で賄おうとすると日本の国家予算超えちゃうので物理的にできますが、現実的ではないですね。

ではほかに手段はないでしょうか?現実的かはさておき、お金の規模間を把握する上で、いかのようなことを考えてみました。

日本の個人の金融資産を担保に国が預金補償の上で資産運用する。日本の個人金融資産は2000兆円近くあります。これの半分超が預金と言われています。1000兆円の預金、今ほとんど増えませんよね。これを投資に回して120兆円生み出すには年率12%の運用が必要です。今の国に12%の運用実績は無理ですね。しかし年率4%が可能だとしたら1/3で毎月33,000は可能です。毎月3万円のお小遣いは夢ではない?

では年間120万分の労働を生み出すロボットが世に出たとしましょう。このロボットを国に全人口分買ってもらいます。それを毎年レンタルするとしたらどうでしょう?

ロボットの値段は1,000万円として毎月2万円で借りて毎月12万円稼いでくれたら毎月10万円残ります。ロボットは24万円余分に働けるようにグレードアップしてもらいましょう。毎月2万で借りると年間24万円。1,000万円払うには41.7年かかります。なのでメンテナンス費も含めて耐用年数が60年くらいのロボットならペイできそうです。

ただ、実際そのようなロボットは労働者となりうるでしょうか?

例えば接客ができるロボットがいたとしたら、それは個人から借りずにお店が買うと思われます。だってそんな富を生み出すロボットいたら、直接買いますよね。つまり、ロボットを派遣して働かせることはできません。現実的にはそのロボットを雇って利益を上げる店の株主になってその株の配当という形に落ち着く気がします。そうなると株式による配当益(運用益を含めてもOK)という形で結局ベーシックインカムに相当する金額を生み出す必要があるということになると思います。

そうすると株の運用益が現実的に4%程度であると想定すると資産として年間120万のベーシックインカムじつげんには120×25=3,000万円の資産が必要になります。年間24万の支払では3,000万の資産は築けません。どうしてロボットだとできそうなのに投資だとだめなんでしょう?

理由は株の運用益の低さです。実際にそのようなロボットが実現したら人件費が激減するので、お店の利益率は跳ね上がり、4%を超える配当益を生み出すことができるはずなので店主ががめなければ配当益のUPによって実現可能になりえます。ただ、実際どれくらいの運用益かといえば年24万円の支払いを労働人生40年払うとして一人の資金は960万。これで先ほどの3,000万円と同じりえきを上げるということは配当益が12%必要になります。

12%?偶然にも日本国民の総預金を投資に回してロボットのような革命的な技術革新がなされ、会社の利益率が3倍に跳ね上がることができたら、日本においてベーシックインカムが実現可能だということですか?

実際にはベーシックインカム導入による労働の流動化や働き手の労働生産性向上など、もっと様々な要因でベーシックインカムがもっと簡単に実現できる可能性があると思いますが、規模間としてどんな世の中になったらベーシックインカムが実現できるかのイメージがわいた気がします。

いずれにせよ、今の世の中で個人でベーシックインカム実現には3,000万程度の資産が必要です。

裏を返せば親から引き継いだ資産がその程度あれば、それを運用することで私たちはベーシックインカムといったありえなさそうな世の中における自分を体験できるとも言えます。

世の中を変えるのは難しいですが、私たち自身は明日にでも変われます。3,000万という見方によっては現実的な資産を築いて、自由な働き方、生き方を得てみたいものです。

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