テニスをやって気づいたアブラキサンのしびれ対策として本質的なこと。

すい臓がんの抗がん剤治療の2大巨頭の1つアブラキサン&ゲムシタビン。私はアブゲムと呼んでいます。

この抗がん剤の主要な副作用にアブラキサンによる手足のしびれがあります。folfirinoxのしびれは私の経験では蓄積することはなく、抗がん剤の症状が緩和するごとに消えるイメージでしたが、アブラキサンのしびれは蓄積型です。アブゲムの投与を受けるたびにしびれが強くなっていきます。

私はアブゲムの副作用は吐き気などもほとんどなく、比較的小さいのですが、このしびれだけは蓄積なので何ともしがたい状況です。手の方は小さくしびれ具合としては1/10くらいのイメージです。

足のしびれについては単純にしびれというより足全体が重くなる感じもあり、歩くという行為に対してはしびれの影響が半分、足のだるさが半分といった状況でした。しびれが進行するにつれ、この治療を続ける限り将来にわたり悪化しかしない事実に絶望を感じました。しかし、今回、この足の症状に対し明るい話が出てきたので紹介したいと思います。

これから話す内容は私個人の話で同様の治療をしている方に同じ効果があるかはわかりません。

少し時間を巻き戻します。すい臓がんを友達にカミングアウトして約1月が経ちます。当時、カミングアウトした際に友人から何をしたいかと言われてテニスがしたいと言いました。きっともう歩いたり走ったりすることができなくなることを何となく感じてできるうちに大好きだったテニスがしたいと思ったんだと思います。

昨今のテニス人気で昔に比べテニスコート予約は容易ではないです。それでもテニス三昧だった友人の一人が、その日のうちにテニスコートを約1月先に予約してくれました。当時1月先にテニスできるかなと漠然と心配していました。実際アブラキサンのしびれが蓄積するに従い、ダメかなと何度も思いました。

それでもどうしてもテニスがしたかったので、副作用による発熱も乗り越えて、何とか元気な”ふり”もしながら当日を迎えました。

これまた元気アピールもかねて当日の運転を買ってでつつ、テニスコートに向かいます。

その時はしびれの影響でロボットのように歩いていたと思います。全く動ける気がしなかったので、テニプリの部長のように自分の手元に全てのボールが集まる必殺技が本気で欲しいと思いました。

テニスコートに行くまで、公園まで歩くしかできず、公園のおやまに助走をつけて上ることが精一杯だったので、テニスの試合ができるとも思っていませんでした。

でも、やっぱり大好きなテニス。いざアップのショートラリーから始め、ロングラリーをするころには、しんどいとか歩けないとか一切忘れてテニスが楽しいとただそれだけでした。

えらいなぁ、動けないなぁって、実際投薬直後はそうなんですけど、それ以降は自分がそうだと暗示をかけていたことに気づきました。楽しいと暗示をかければ、立ち上がりテニスに夢中になることができたのです。

同時に自分の足が全く筋力がなくなっていることに気づきました。足がもつれて進めないし、すぐに息切れしてしまいます。ガーミンの心拍はほぼ歩きのジョグをしたとたんに150を指します。根本的に体力がないことに改めて気づきました。歩いているだけでは気づかないです。ほんの少し走ることでそれに気づくことができました。

その日は4時間コートを取ってくれて、ダブルスのテニスを4試合か5試合することができました。みんな手加減をしてくれて、歩けない私でも何となくテニスをさせてもらいました。あとでガーミンの歩数を比べてみたら、友人の半分しか歩数を刻んでいなかったです。歩数にしてわずか5000歩でした。でも同じ5000歩でも歩くのではなく、走ったことで本当に多くの発見を得ることができました。

テニスは私に歩けないのは思い込みと筋力(体力)不足が原因で、しびれがあっても走ることもできるし、テニスをすることができることを教えてくれました。しびれて歩けなくなって車いすになって行くことはそうした思い込みの影響もとても大きなものであると気づかせてくれました。

そして翌日に小さな奇跡が起こります。

あんなに動けない状態で走ったから筋肉痛で動けないのかなとまたも思い込みをしていたのですが、朝起きるととても足が軽い。そして驚くことにしびれも小さくなっていました。走ったりすることで血流が促進して停滞しているしびれ成分を流したのではないのでしょうか。エビデンスなんかありません。でも私は私のことがわかります。それが全てでした。そして、少し肌寒くなり、ランニングに良い季節になったことも幸いし、私は自然とランニングシューズをはいて走り出したのです。これまた、テニスで5000歩しか刻めないことを痛感する足のヘタレ具合でした。

でも走ってみなければ、こんなことにも気づかなかったのですね。もう一度言いますが、歩いていると特に筋力の低下をそこまで感じません。どんなに遅くてもいいのでジョグをする感じで走ってみてください。そうしたら如何に筋力が低下しているか、すぐに分かります。

これだけ筋力が低下していれば歩くのが億劫になるのは当然です。逆に普通に軽く走ることができるくらい筋力をつければあの絶望的な歩けないという感覚とさよならすることができます。

癌になるととかく薬の力であらゆる症状に対処しようとしてしまいます。しびれやだるさで歩けないことを抗がん剤の副作用に全て押し付けてしまいます。でもそれは間違いです。薬に頼る前に健康な人の半分でもいいので体力を維持することがとても大事です。動くということに関してはまずその筋力が大前提です。それが本質です。

体力の改善にかかること、走ったり、テニスなどのスポーツをすることは私がそうであったようにあなたを心の死の淵から救い出してくれます。

私はもう一度、手抜きのないテニスを友人としたいと思います。そのためには1時間くらい持続してジョグができるような体力・筋力が必要です。それはライザップにコミットするようなハードルの高いものではないし、抗がん剤の副作用で本当に動けない日を除いた期間で実現可能なことです。最初10歩くらい走ったところで泥沼のような重みを感じました。でも、200歩、300歩と歩を進める内に足は勝手に動きました。初日700mほどジョグすることができました。10分/kmとまさに亀のようなスピードですが、健康を取り戻す第一歩です。私は不幸にも若くして癌を患いましたが、幸運にも歩いたり走ったりするのに十分な若さでした。同じことを60代、70代でこの病気に出会った人ができるかは分かりません。でも何かできないことが生じたとき、それは自分の思い込みではないかと自問するくらいはしても良いのではないでしょうか。

「病は気から」

誰もが知るこのことわざは私の真実となりました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました